説明
田中真知 著
2000年7月10日発行
【目次から】
ラマダン・ナイト
タクシードライバーたち
門番のバクリー
カイロで学ぶフランス語
悪霊祓い
テロリスト参上!
特効薬
ある夜、大ピラミッドで
シーワ・オアシスへ
「黄金」という名の村
ある朝、シナイ山で
大観光
古美術品密売の話
エジプシャン・ドリーム
アメリカの夢
ネフェルタリの墓
古代の旅の物語
三千年の愛の物語
ウイダード
ムハンマド
スレイマン
マダム・ルッシー
サーミア
引っ越し
窓からカイロが見える
夏の夜の悪夢
サウジが街にやってくる
カイロ大地震
床屋について
エレベーターの猫/信じられない泥棒
外出恐怖症
ゴミと豚と神と
エジプトのサイババ
あるオランダ人スーフィー
エジプトのハレ・クリシュナ
アンパン男爵の夢
隠者たちの沙漠で
聖マカリウス修道院のオリーブ
偏愛するエジプト本
この本は、カイロに足かけ8年暮らした田中真知さんのカイロ生活記です。
といっても、カイロは素晴らしかった、エジプト人はよい人々であったというような凡庸な生活記ではありません。カイロの生活がいかに困難であるか、エジプ トの人々や生活がいかに不条理であり、かつ奥深いものであるかを、身を持って体験した本音のエジプト生活記です。
真知さんに、エジプトの本を書いて下さいとお願いしたとき、真知さんは「うーん」とうなって、なかなか承諾してくれませんでした。それは、安易に描くことができないエジプトへの想いが、身体の底に重くのしかかっていたからだと、この本のゲラを読んで納得したものでした。
かといって、重苦しい本というのではありません。思わず笑いを誘われる体験もたくさん語られているのですが、しかし、これがエジプトの奥にある世界なのだ ということがうかがえることでしょう。カイロから出る膨大なゴミに囲まれて暮らすコプト教徒たちのすさまじい生活や、アパートの周囲で生活する住民たちの たくましく、理解不能な騒々しさ。あるいはイスラム教の国と思われながら、人々の間で息づいているアニミズムの世界などなど、エジプト人のあからさまな生 き方が、旅行者でもなく、住民でもない、「生活者」として視点から描かれています。エジプトの生活に興味のある方は是非ご覧下さい。
編集担当:蔵前仁一
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